肝臓
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アルコール硝子体の起原について
組織学的ならびに電顕的検討
伊藤 進塚田 悦男五十嵐 正彦坂田 晃康
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1975 年 16 巻 6 号 p. 370-383

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抄録

アルコール乱用者,原発性胆汁性肝硬変,肝癌,Diethylaminoethoxyhexestrol剤服用例で,硝子体を認めた33例につき,硝子体の形態と起原に関し検索した.光顕的に硝子体は粗大型より早期に出現する網状型に分れるが,いずれも肝細胞の腫大,変性壊死,核の変性をみた.また硝子体は好塩基性物質と関連し,肝細胞の変性壊死の著明な部分では,同物質を軽度にみ,硝子体は不染か淡染し,その周囲を膜様に染めるが,変性壊死周辺の肝細胞群一帯には同物質を著明にみる.電顕像では細線維様構造とリボゾーム様顆粒,変性グリコーゲン顆粒から成るが,その周囲には,変形した粗面小胞体,ポリゾームの増加が著しく,この部分に接し変形粗面小胞体と類似する硝子体構成部分を認め,かつこれら硝子体はゴルジー装置近傍に観察された.早期硝子体は小胞体とくに粗面小胞体とときに,グリコーゲン顆粒の変質が根幹をなすものとみなされた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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