肝臓
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前駆症状出現直前の組織像を観察し得た急性ウイルス性肝炎の1例
杉本 元信佐久本 育哉吉田 博美保坂 洋夫安部 井徹辻本 志朗川村 貞夫
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1977 年 18 巻 1 号 p. 44-48

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抄録

症例は58歳の男性,膿胸の治療中であったが,慢性肝障害を疑って肝生検を施行したところ,比較的定形的な急性ウイルス性肝炎の組織像を認め,生検施行3日後より典型的な急性肝炎の臨床経過を認めた.HB抗原は陽性で,3週後に陰性化した.組織像は,小壊死巣,肝細胞および核の大小不同と染色の多様性,好酸体,Kupffer細胞の肥大・増殖,静脈洞内の各種細胞浸潤,Glisson鞘の細胞浸潤・浮腫等を呈し,中心静脈の肥厚・硝子様化,細胆管増殖は明確ではなかった,志方法によるHB抗原染色では,陽性所見は得られなかった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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