1977 年 18 巻 4 号 p. 247-255
ラットのD-galactosamine(Gal)による黄疸の発生機序を解明することを試み,併せて,肝のビリルビン排泄機構上でのY蛋白の位置づけを行なった.
Ga1投与により早期に血清ビリルビンの軽度の上昇(間接型優位)をみる.この際,肝小胞体のUDPGT活性には変化なく,肝のY,Z蛋白はともに減少するが,その減少は黄疸の発現よりも早期に始まっており,ビリルビン-H3の肝内摂取率の低下が黄疸の発現期と一致した.Ga1肝障害時には肝細胞膜が障害されるとの報告もあり,Gal黄疸の発生にはY蛋白の減少の関与も否定はできないが,むしろ,肝細胞膜の通過機構の障害が重大であると結論された.
Galによる黄疸およびY蛋白の減少はphenobarbitalならびに3-methylcholanthrene前処置によって抑制された.