肝臓
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Ethynyl Estradiolの実験的肝内胆汁うっ滞に及ぼす影響
前山 豊明案納 弘子安倍 弘彦池尻 直幹谷川 久一
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1978 年 19 巻 3 号 p. 292-298

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抄録

ウィスター系雌性ラットにethynyl estradiolを0.5mg/100g体重,7日間投与すると胆汁量はコントロールに比して27%減じ,胆汁中への胆汁酸排泄量は24%減少した.ethynyl estradiolの投与量を増加させると胆汁量,胆汁中胆汁酸量はさらに減少し,ethynyl estradiol投与量と胆汁量,胆汁中胆汁酸量の間には逆相関がみられた.タウロリトコール酸溶液をラット股静脈より0.6μM/100g体重/分持続注入すると胆汁うっ滞が生じたが,0.083μM/100g体重/分の持続注入では胆汁量はむしろ増加した.ethynyl estradiolを0.5mg/100g体重,7日間投与したのち,タウロリトロール酸溶液を0.083μM/100g体重/分持続注入すると胆汁量はethynyl estradiol非投与ラットの胆汁量に比べ52%少なく軽度の血清ビリルビンの上昇も認めた.ethynyl estradiol の投与により胆汁分泌に抑制を生じ,さらに胆汁うっ滞を起こしやすい性質をもつタウロリトコール酸が負荷されたため胆汁うっ滞が惹起されたものと思われる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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