1978 年 19 巻 4 号 p. 371-382
B型肝炎ウイルスに関する免疫化学的研究は,その表面蛋白については流血中に多数存在する直径20nmの小型球形粒子を用いてかなりの進展をみせているが,B型肝炎ウイルス粒子と目されるDane粒子そのものに関する成績は試料の量的制約もあって極めて少ない.著者はHBe抗原が検出されるAustralia抗原陽性血漿(subtype adr)約10lよりDane粒子を精製濃縮し,これよりcore粒子を分画して,SDS-polyacrylamide gel electrophoresisによりpolypeptideの分子量を検索した.その結果core粒子には分子量24,000のmajor polypeptideと3個のminor polypeptidesを,Dane粒子には分子量31,000, 34,000のmajor polypeptidesと数個のminor polypeptidesを検出した.Dane粒子に認められるpolypeptideの多くは並列して泳動したHBs抗原,HBc抗原のいずれかに,それらに相当するpolypeptideが認められた.