20 巻 (1979) 4 号 p. 405-416
各種肝疾患,とくに非腫瘍性肝疾患における血中CEAを測定し,その臨床的意義を検討した.CEA上昇例は,亜急性肝炎(5例)20.0%,急性肝炎(21)14.3%,急性肝炎遷延型(10)0%,慢性肝炎(137)19.7%,うち活動型(73)23.3%,肝硬変(91)37.4%,その他の良性肝疾患(35)5.7%で,原発性肝癌(108)36.1%,転移性肝癌(62)77.4%に比べて,これらのCEAの上昇率ならびに値は軽度のものが多く,10ng/mlを越えたものはなかった.一般に肝障害の進展に伴なってCEA陽性率が上昇したが,経時的変動ではかなりの動揺が認められた.CEA陽性例では,同時にAFPの陽性率も高率であったが,CEA値とAFP値との明らかな関連はなく,また,肝細胞再生の指標としての意義も少なかった.10ng/ml以上を示した原発性肝癌例を除き,肝硬変と原発性肝癌のCEA値には明らかな差がなく,従って両者の鑑別,あるいは肝硬変に併発した肝癌の早期発見の指標としての有用性は乏しいことが示唆された.