1979 年 20 巻 5 号 p. 485-490
生後発育中のマウス肝についてornithine carbamoyltransferase活性,絶食時のglycogen,およびCCl4による障害肝細胞の小葉内分布を組織化学的に観察した.ornithine carbamoyltransferase活性は新生仔では小葉全体均等に分布し,生後4日に周辺部に僅かにより強い活性が現われ,10日から12日に成獣と同様の分布となる.これに対して,新生仔より成獣まですべて,絶食によるglycogenの減少ないし消失は主に周辺部に,CCl4投与による肝細胞障害は中心部に見られ,新生仔ですでに成獣と同様の変化を示した.
以上の結果はいわゆる「肝細胞の機能的および形態的不均一性」と云う概念の中には,少くとも,新生仔には存在せず,生後発育中に形成されるものと,新生仔にすでに存在するものとが含まれることを示す.