20 巻 (1979) 8 号 p. 852-859
外科治療不能な肝細胞癌180例中,100例に制癌剤の肝動脈内one shot療法(化学療法群)を,他の80例に対症的治療(非化学療法群)を行い,one shot療法の治療効果,適応および副作用について検討した.化学療法群の治療後平均生存期間は5.5ヵ月で,1年生存率は13.0%であった.上腹部痛の軽減,肝腫の縮小,血清AFP値の低下は化学療法群の45.7%, 31.9%, 46.6%にえられた.肝腫瘍部の線維化は化学療法群に強い傾向がみられ,組織学的治療効果が示唆された.難治性腹水,黄疸症例の本療法は適応とならなく,sGOT 250単位,LDH 600単位,BSP 30% (45分値)以下に有効例が多かった.選択的腹腔動脈造影上,腫瘍占拠率が75%以上,門脈本幹にA-V shuntがみられる症例は適応とならなかった.副作用としては,反復施行症例の骨髄抑制が重要であった.