肝臓
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A型急性肝炎の血清学的診断―IgM型HA抗体の測定と応用―
矢野 右人古賀 満明古河 隆二田中 智之松本 頼子森次 保雄
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キーワード: A型肝炎, HA抗体, IgM抗体
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1980 年 21 巻 6 号 p. 704-712

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抄録

A型急性肝炎41例の発症後経時的に得られた血清につき,RIA (HAVAB)法およびIAHA法によりHA抗体の動態を検索すると共に病初期one point血清での診断法を検討した.IAHA法では発症後もしばらくHA抗体活性が検出されず,発症4週ないし10週よりようやく検出された.従って病初期と10週以後のペア血清があれば診断可能であるがretrospectiveにしか診断されない難点がある.RIA法では病初期からHA抗体活性が検出された.発症時の主な抗体活性はIgM抗体であり,回復期のものはIgG抗体であった.2mercaptoethanol処理血清と非処理対照のHA抗体活性を測定し両者の比M-indexを算出するとA型肝炎初期の血清では1.5以上の値が得られone point血清のみによるA型肝炎の診断が可能であることが分った.発症期と回復期のペア血清を用いRIA法でHA抗体を検出する場合も血清の2ME処理を行った方がより確実に診断出来ることが分った.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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