21 巻 (1980) 8 号 p. 1029-1037
B型劇症肝炎(感染源不明)の回復期に,黄疸を伴うSGPTの再上昇がみとめられ,非A・非B型急性肝炎が併発したと考えられた21歳女性例を報告した.
B型劇症肝炎の極期(昏睡IV度の時期)には,血中免疫複合体と血中HBs抗原・抗体免疫複合体(ともにRaji細胞法)の出現をみとめたが,SGPTの再上昇の際には前者しか検出されず,また,HBs抗原のcpm値の再上昇もみとめられなかった.肝組織像では,B型劇症肝炎による昏睡出現後8日目の肝生検では,肝細胞の壊死はみとめられず,広汎性の肝細胞の水腫様腫大をみとめたのに比し,SGPTの再上昇時の肝生検では,亜小葉性の肝実質の脱落と肝実質内に著明な炎症細胞浸潤をみとめた.
SGPTの再上昇の原因は,劇症肝炎の際に施行した輸血による非A・非B型急性肝炎と考えられた.