肝臓
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閉塞性黄疸における耐糖能とインシュリン・グルカゴンモル比の変動
小林 衞嶋田 紘米沢 健佐藤 一美鬼頭 文彦阿部 哲夫土屋 周二
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1981 年 22 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

閉塞性黄疸における耐糖能とこれに伴うインシュリン・グルカゴンモル比(I/G比)の変動を臨床的,実験的に研究した.
閉塞性黄疸15例(対照10例)に経口的ブドウ糖負荷試験をおこなった結果,耐糖能低下に伴ってI/G比の初期の上昇抑制がみられた.すなわち相対的インシュリン不足-グルカゴン優位の状態にあった.
2週間の総胆管結紮による黄疸犬5頭(対照犬5頭)に経十二指腸的ブドウ糖投与をおこなったところ,耐糖能低下傾向とともにI/G比の初期上昇抑制が観察された.しかし黄疸犬の門脈血I/G比は対照犬より全体に優位にあった.したがって閉塞性黄疸における耐糖能低下と相対的インシュリン不足-グルカゴン優位の状態の背景には,肝によるインシュリンextraction亢進の存在が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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