1981 年 22 巻 1 号 p. 68-73
46歳の女性で胆石症にて胆嚢摘出術を施行した際に胆嚢外壁前面に1.5×1.0cmの異所性肝臓(副肝)を認めた.
組織学的には肝小葉の構造は正常のグリソン鞘と中心静脈との関係を示さぬ部分が多くグリソン鞘には門脈,動脈,および胆管を認めたが,中には不完全なグリソン鞘も多数認められた.胆嚢壁に近い部分には比較的大きな胆管,動脈,および静脈を認めたが,動脈,門脈の由来および中心静脈の流入先は明確ではなかった.小葉中心部に胆汁うっ滞の像が認められたのは,胆汁の排泄の障害を思わせる所見であろう.