肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
ラットにおける腹腔内エンドトキシン2回投与法による肝組織病変と免疫賦活剤の影響
尾上 公昭
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 22 巻 11 号 p. 1525-1537

詳細
抄録

肝障害の発生とKupffer細胞の機能とのかかわり合いを明らかにする目的で,SpragueDawley系雄性ラットにエンドトキシンを腹腔内に2回投与することにより肝障害を惹起させ,その際に免疫賦活剤と補体成分阻害剤を前投与することにより,肝障害発生阻止効果を血清肝機能検査と組織所見から比較した.その結果,無処置群では肝細胞変性が著明で,Kupffer細胞の増殖は軽度であったが,Iysozyme (LZM)投与群では肝細胞の壊死,変性像もなく,逆にKupffer細胞の増殖が著明であり,血清GOT値,血清LDH値の上昇阻止効果も認められた.
また,他の免疫賦活剤であるPSK, OK-432, levamisole (LMS)と補体第5成分阻害剤投与群でもLZMよりは弱いが肝細胞変性阻止効果が認められた.以上より,エンドトキシンによる肝障害の惹起実験ではKupffer細胞の機能が重要であり,Kupffer細胞の機能を賦活することにより,肝障害の惹起が抑制できることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top