肝臓
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肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術後のCTによる効果判定
大石 元大上 庄一居出 弘一吉川 公彦村田 敏彦尾辻 秀章吉岡 哲也今井 幸子上田 潤葛城 正己福住 明夫松尾 尚樹細木 靖弘打田 日出夫小西 陽一辻井 正
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1981 年 22 巻 11 号 p. 1569-1576

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抄録

要旨:肝細胞癌に対し肝動脈塞栓術を施行した18例について,CT像の腫瘍が最大に描出されているスライス面での腫瘍面積の推移と吸収値の,非腫瘍部との相対的変動について検討した.
腫瘍面積は塞栓術後全例に縮小がみられ,経過中50%以上の縮小のみられた症例は13例(87%)である.腫瘍部と非腫瘍部との相対的吸収値の変動は,塞栓術後初期では減少し,長期観察例では腫瘍が縮小しているにも拘らず上昇がみられた.この吸収値の変動は,塞栓術後の腫瘍の壊死性変化の過程を表わしていると考えられた.また,これらの変化は,非腫瘍部には認められず,肝細胞癌に対する保存的療法として肝動脈塞栓術が有効であることを示していた.
肝細胞癌塞栓術後のCTによる経過観察は,血管造影で得られない腫瘍の状態が把握でき,その効果判定ならびに再度の塞栓術施行時期決定に有効である.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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