肝臓
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HBsAg陽性各種肝疾患における末梢血リンパ球のインターフェロン産生能の検討
中川 彦人
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1981 年 22 巻 12 号 p. 1670-1677

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抄録

慢性B型各種肝疾患におけるインターフェロン(IF)動態と肝炎の遷延・慢性化との関連性を明らかにする目的で,Sendai virusをinducerとして末梢血リンパ球のIF産生能および血清中のIF活性の検索を行なった.末梢血リンパ球のIF産生能は,健常成人群1354±483I U/ml, Carrier群1678±770IU/ml, CAH群548±236IU/ml, LC群526±235IU/mlで,Carrier群では健常成人と同程度のIF産生がみられたのに反し,CAH, LC群ではともに有意に低下していた.IF産生能が著明に低下していた症例は,CAH, LCに多くみられ,血清GPT値,BSP値が高値を呈す程IF産生能が低下する傾向が認められた.血清中のIF活性は,健常成人および肝疾患群とも検出されなかった.以上の成績より,末梢血リンパ球のIF産生能の低下は,B型肝炎の遷延・慢性化および活動性と密接に関連している可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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