肝臓
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当院においてPTCにより術前診断された純型
カロリー病2例について
三宅 周河野 宏植田 昌敏尾上 公昭渡辺 正博杉山 明岩本 龍夫岩原 定可鷲田 哲雄荒木 文雄
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1981 年 22 巻 12 号 p. 1725-1730

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抄録

当院において経験されたカロリー病2例について検討を加えた.症例1は30歳男性で,心窩部痛,全身倦怠,腹満を,一方症例2は41歳男性で,心窩部痛,発熱,悪寒,嘔吐を主訴に来院した.本病の診断については,ERCPおよびPTCが普及し,それらによる例が増加したが,それでも現在諸外国で128例,本邦で13例の報告をみるに過ぎない.我々の2例もいずれもPTCにより診断され,2例とも確診と治療を目的に手術を行い,症例1では手術下に肝生検も施行され,どちらも先天性肝線維症を合併しない純型の本病と診断された.
治療については,根本的なものはない.まず,胆管炎に対して抗生剤を投与し,それが不効の場合にはPTCDとか手術が考慮される.Tチューブを通して,また薬剤とかホルモン投与により胆道洗浄を行うのも一考である.くり返す胆管炎とか,原因不明の門脈圧亢進症をみた時には,本症も考えに入れておきたい.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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