肝臓
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DL-ethionineにより誘発されたラット肝oval cellの異所性同種移植による発育
高橋 精一東口 隆一三上 修司小西 陽一Benito Lombardi
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1982 年 23 巻 3 号 p. 242-246

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抄録

oval cellはラット肝化学発癌過程の初期に増生して来る事は良く知られている.このoval cellの発癌過程における意義を検索する目的で,それらを単離して,同系のラットの脾臓および頚背部皮下脂肪組織に移植した.donorラットは,0.1% ethionine含有コリン欠乏食を4~5週間投与し,肝にover cellの増生を起こさせしめた.recipientラットは,移植1週間前より,移植後4~8週で屠殺するまで,コリン欠乏食にて飼育した.その結果,脾臓への移植では,107個の細胞を移植した6匹中4匹に,また,2×107個の細胞を移植した4匹中3匹にovalcellが生着し,脂肪組織への移植では,107個の細胞を移植した4匹中2匹に生着した.生着したものの組織像は,肝実質系の細胞は見られず,γ-Glutamyltranspeptidase陽性の円柱および立方上皮よりなる腺管が,結合織を伴って増生していた.
以上の結果より,oval cellは,胆管系由来の細胞である事が示された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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