肝臓
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チオプロニン(2-メルカプトプロピオニールグリシン)による肝障害3例
日下部 篤彦吉岡 健太郎岡山 政由黒川 晋三輪 正夫岡 勇二伊藤 庄三宇野 裕
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1982 年 23 巻 4 号 p. 426-432

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抄録

チオプロニンによると考えられる薬剤起因性肝障害3例を経験したので,臨床経過を中心に報告した.症例1は45歳の女性で,湿疹のためチオプロニンを内服したところ24日目に発黄した.発黄25日後の肝機能検査成績では閉塞性黄疸様所見が認められた.肝組織像では小葉中心性の胆汁うっ滞と4核までの多核肝細胞が認められた.症例2は48歳の男性で,湿疹のため同剤服用後22日目に発黄した.入院時急性肝炎様の肝機能障害を呈した.肝組織像では軽度線維化と少数の胆汁色素および2核肝細胞を認めた.症例3は60歳の女性で,同剤内服後19日目に発黄した.初診時より著明なLAP活性の上昇が認められた.肝組織像では門脈域の細胞浸潤と線維化および3核までの多核肝細胞を認めた.
3例ともリンパ球幼若化試験でチオプロニン陽性と判定された.黄疸が消褪したあとも胆道系酵素活性の異常が9ヵ月以上にわたって続いているのが共通した所見であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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