肝臓
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肝動脈門脈瘻と右肝内門脈閉塞を伴った門脈圧亢進症の一例
森 理比古井手 秀水谷岡 一川本 充三島 致衍城間 盛光今西 健夫田中 義人中村 憲章牧山 和也原 耕平
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1982 年 23 巻 4 号 p. 433-438

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抄録

著者らは最近,肝の変形・肝内動脈走行異常・肝動脈末梢の動脈瘤様abnormal vascular spaceの存在と,同部での門脈との交連および交通していると思われる門脈分枝の閉塞所見を伴った門脈圧亢進症の1例を経験した.症例は67歳の女性で,主訴は吐血である.昭和50年肝機能異常・腹水・食道静脈瘤を指摘され,その後腹水もなく無症状で経過観察中であったが,昭和54年12月・55年3月・6月と計3回の吐血をみて,手術適応決定のため当科に紹介されて入院した.入院時,軽度の肝・脾腫があり,食道造影・肝シンチ・腹部CT・腹腔動脈造影・術中門脈造影その他の諸検査より,上記の異常が発見された.また肝生検では肝線維症を思わせる所見があった.肝の動脈・門脈瘻以外に多くの異常を合併しており,その成因については確証も少なく,確実な結論は得られなかったが,若干の考察を加え報告した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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