肝臓
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無症状の原発性胆汁性肝硬変における胆管病変に関する形態学的研究
山田 昇司須賀 勝久長坂 一三市川 邦男新井 孝之高木 均長嶺 竹明竹沢 二郎阿部 毅彦桜井 誠司佐伯 俊一高橋 仁公下條 宏関口 利和小林 節雄
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1982 年 23 巻 9 号 p. 1024-1033

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抄録

無症状の原発性胆汁性肝硬変(PBC)にみられる小葉間胆管レベルの形態学的変化を臨床症状を伴うPBC典型例および慢性肝炎にみられる胆管の変化と比較検討した.その結果,症状の有無にかかわらずPBCの胆管病変と慢性肝炎のそれとは多くの類似点をみとめるものの異なる点も少なからずみられた.また,門脈域1個あたりの小葉間胆管の数と,小葉間胆管を欠く門脈域の比率を比較すると,無症状のPBC例ではいずれも,臨床症状を伴うPBCと胆管の変化を伴う慢性肝炎との中間の値を示し,さらに,無症状のPBCの胆管を連続切片標本で追跡すると,胆管上皮に変性壊死の所見を示しながらもある胆管は細胆管まで追跡可能であった.以上の成績より,PBCと慢性肝炎の胆管病変は形態学的に鑑別可能と思われた.また,無症状のPBC例においては小葉間胆管の減少は明らかであるが,その程度は臨床症状を伴うPBC例程ではなく,無症状に経過する一因とも考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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