肝臓
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門脈下大静脈吻合術後脳症に対する外科的治療
1治験例の報告
豊田 忠之松原 正直中沢 英樹杉浦 光雄
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1982 年 23 巻 9 号 p. 1073-1082

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抄録

門脈圧亢進症による食道静脈瘤に対して,門脈下大静脈吻合手術が施行され,亢進した門脈圧の減圧,あるいは食道静脈瘤の縮小という治療目的が達せられることは周知のとおりであるが,一方では,術後に脳症を発生することが少なくないという理由から,近年,わが国では,この手術が行われることは稀である.1970年に他施設で上記吻合術を受けた直後に発症した高アンモニア血症を伴う重症脳症患者に対して,筆者らは,その約2年後に,予防的食道離断術,ついで門脈下大静脈側々吻合孔閉鎖手術を行った.門脈圧は旧に復して亢進したが,予防的に行った食道離断術により食道静脈瘤は増悪しなかった.このたび,術後10年目の追跡検査を行った結果,血中アンモニア値をはじめ臨床生化学的検査数値,食道静脈瘤の状態も良好であり,脳波検査のうえでも,この種の脳症が全く可逆的に消失していることを確認することができた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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