肝臓
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わが国の肝硬変症におけるHLA抗原の研究
清水 修
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1983 年 24 巻 7 号 p. 752-759

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抄録

アルコール性肝硬変症45例,HBV関連肝硬変症33例,原因不明のいわゆるcryptogenic cirrhosis 26例の計104例についてHLA抗原の検索を行なった.その結果,BW54が対照(14.1%)に較べて有意に高頻度であった(34.6%, corrected p<0.03).成因別にみた場合,BW54の頻度はそれぞれアルコール性33.3%, cyptogenic 46.2%と有意に高頻度であった.さらに,HLAハプロタイプについては,アルコール性肝硬変でA9-BW54が連鎖不平衡を認めた.HBV関連の肝硬変症においてBW54の頻度は27.2%と対照より高頻度であったが統計学的に有意ではなかった.また,HBV関連の肝硬変症とHBe抗体陽性の無症候性キャリアについてHLA抗原の頻度を対比したが,両群に有意差を認めなかった.以上の結果は肝硬変症,少なくともアルコール性とcyptogenicにおいては肝硬変の進展を促進する遺伝子の存在の可能性を示唆している.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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