24 巻 (1983) 9 号 p. 1032-1035
市販漢方薬による薬剤性肝障害の1例を経験した.症例は39歳の主婦.市販の漢方薬(MK散)を約3週間服用後,悪心,食欲不振,黄疸が出現し当科外来受診.肝腫大,肝機能障害を認め急性肝炎の疑いで入院した.輸血歴,飲酒歴はなく,HBs抗原陰性,IgMHA抗体陰性であった.薬剤による肝障害を疑い,漢方薬のリンパ球刺激試験(LST)を行ったところ,リンパ球刺激指数(LSI)が2145%と陽性を示した.さらにその組成成分である4種の配合生薬についてもLSTを施行した結果,うち1種の生薬(桑白皮)のLSIが14200%と著明な高値を示し,本生薬による過敏性肝障害と診断した.肝生検組織所見は肝内胆汁うっ滞と肝細胞障害を示しており,いわゆる混合型であった.グリチルリチン製剤投与により,トランスアミナーゼおよび胆道系酵素は約12ヵ月後に正常化した.