25 巻 (1984) 1 号 p. 88-93
症例は5歳女児で生後11ヵ月に肝脾腫と白血球増多および肝機能異常を指摘された.2歳時に貧血が出現.4歳5ヵ月に突然,吐下血を来たし,食道鏡にて噴門部静脈瘤が認められた.4歳7ヵ月に肝楔状生検が行なわれた.組織学的には肝の正常構造は失なわれ,幅の広い線維性間質によって甲型肝硬変の像を示していた.肝細胞は腫大し,胞体にはエオジンに淡染する円形ないし不整形の物質の沈着が認められた.この物質はジアスターゼ抵抗性でPAS陽性を示し,α-アミラーゼ,ペクチナーゼで中等度に消化された.電顕的には,この物質は直径約65Aの微細線維の集族からなり,辺縁にはグリコーゲン粒子が認められた.生化学的に,好中球の分枝酵素の欠損が証明された.以上の所見よりIV型糖原病と診断された.
本疾患は極めて稀な先天性糖代謝障害であり,病理組織学的に診断された症例は,本例が世界で第25例目である.