経静脈的投与による等張マルトース液の,肝疾患でのエネルギー補給面からみた効率を明らかにするため,健常者5例,急性肝炎5例,肝硬変5例に,10%マルトースあるいはグルコースの500mlを2時間で点滴静注し,血中,尿中の代謝物質を測定した.点滴終了後2時間までの尿中へのマルトースの排泄(グルコースへの変換分を含む)は,対照36.0%,急性肝炎16.2%,肝硬変18.8%で,肝障害によりむしろ減少し,単位時間当りのマルトースの利用率は等張グルコースよりも良好であった.一方,代謝物質の経時的変動はグルコース投与時のそれに類似し,経静脈的に投与されたマルトースが,生理的代謝径路を経て利用されることを示唆しだ.