肝臓
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99mTcO-4を混入した食道静脈瘤硬化剤Ethanolamine Oleateの体内分布に関する検討
鋤柄 稔
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1984 年 25 巻 10 号 p. 1288-1292

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抄録

内視鏡的食道静脈瘤硬化剤であるEthanolamine Oleate (EO)の血管内注入後の体内分布をみるために,アイソトープを用いて検討した.
EO液と99mTcO-4液を容量比で9:1の割合に混じ(EO-99mTcO-4),これを5人の食道静脈瘤症例に計16回,1回当り5~20ml,内視鏡的に注入した.注入開始後直ちに,シンチカメラでアイソトープの流れを検出した.
16回中5回に於ては大部分のEO-99mTcが血管内に注入(intravariceal injection; IVI)されたが,この場合は30秒以内に静脈瘤から門脈および肝を経てのEO-99mTc液の全身散布が注入量に関係なく観察された.5分後には局所に留まるEO-99mTcは少量であったが,内視鏡的には静脈瘤の硬化,退縮を認めた.EO-99mTcが一部血管外に洩れる(paravariceal injection; PVI)と30秒後には局所の放射能活性が目立った.しかし,同時に全身への散布も認められた.EO-99mTcの殆んどがPVIになると,5分後に於ても局所の放射能活性だけが顕著であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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