肝臓
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肝動脈塞栓術による肝細胞癌部の病理組織学的変化
剖検例10例の検討
前田 正人小山 恒坂本 龍金山 正明蓮村 靖武内 重五郎
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キーワード: 肝細胞癌, 肝動脈塞栓術
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1984 年 25 巻 10 号 p. 1293-1300

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抄録

肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization: TAE)後に肝細胞癌部およびその周辺領域がどのような形態学的変化をうけるのかを知る目的で,TAE後剖検しえた10例を対象に,病理組織学的に検討を加えた.TAEから剖検までの期間は12日~550日(平均170.4日),TAEの回数は1~5回(平均1.8回)であった.剖検では主腫瘍部にはいずれも大小の壊死巣がみられたが,1例を除いて全例に腫瘍細胞の残存と再発が認められた.談た,病理学的に,腫瘍の被膜内浸潤や門脈塞栓に対してTAEの効果を認めることができなかった.全症例の塞栓動脈は再疎通を示しており,さらに,剖検肝にバリウムを注入して軟線撮影を施行しえた3例においても腫瘍の栄養血管の新生と腫瘍濃染像が認められた.以上より,TAEで肝細胞癌部を完全壊死に陥らせ,とくに被膜内浸潤に至るまで効果をもたらすためには,栄養血管の再疎通を防止する方法をさらに考案する必要があると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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