肝臓
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Nonthyroidal illness:慢性肝疾患における検討
高橋 仁公山田 昇司長嶺 竹明佐伯 俊一阿部 毅彦桜井 誠司山田 俊彦湯浅 圭一朗市川 邦男竹沢 二郎長坂 一三下條 宏須賀 勝久小林 節雄小林 功
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1984 年 25 巻 11 号 p. 1452-1460

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抄録

慢性肝疾患において各種甲状腺パラメーターを測定し,特に遊離の甲状腺ホルモンに注目し,それらの意義を検討した.また合成TRH 500μgを静注し,血中TSH, T3の変動についても検討した.対象は慢性持続性肝炎(CPH) 10例,慢性活動性肝炎(CAH) 23例,肝硬変(LC) 26例,健常者(C) 14例である.I. free T4 (FT4)はC群に対しLCでのみ有意に低下した.free T3 (FT3)はC群に対し,CPH, CAN, LCの順に肝障害の程度に従って低下した.またFT4, FT3はそれぞれICGR15,プロトロンビン時間,血清アルプミン値と有意の相関を示したことより,とくにFT3は肝障害の重症度を表現する指標となり得るとも考えられた.II.TRH負荷試験では,TSHの増加量(ΔTSH)は各群で差はなかったが,LCでのみTSHの遅延反応が認められた.またTRH負荷後のT3の反応はLCで明らかに低下した.TRH試験におけるT3の反応性の低下より肝-甲状腺間に機能相関の存在が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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