肝臓
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還元型グルタチオンが著効を奏した切除不能肝細胞癌の1例
河野 信博長尾 桓瀬戸山 隆平森岡 恭彦
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1984 年 25 巻 11 号 p. 1468-1473

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抄録

本症例は59歳の女性で,肝腫大を主訴として来院した.AFP高値(113,574.5ng/ml),画像診断,細胞診等より,肝両葉にわたり肝体積の50%以上を占めるびまん型肝細胞癌と診断され,局所進展高度のため切除不能と判定された.Noviにより肝細胞癌に対する有効性が示唆された還元型グルタチオンの大量投与(5g/日)を開始し,肝機能検査,AFP,超音波検査,CTにて経過を追跡した.投与開始3カ月後には,全身状態の改善,AFP値の低下(360ng/ml)とともに,画像診断上肝腫瘍の質的変化,縮小が観察された.6カ月後にはAFPの再上昇傾向がみられたので,還元型グルタチオンを5g/日から10g/日に増量した.その結果AFPの再上昇は抑制され,腫瘍は順調に縮小傾向を続けた.投与開始後1年6カ月を経過した現在,腫瘍の体積は肝全体の5%以下にまで消退し,患者は社会的に活躍中である.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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