肝臓
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内臓真菌症(Trichophyton rubrum)により閉塞性黄疸を呈した1例
竹田 康男布田 伸一須藤 治郎越田 英夫上野 敏男竹田 亮祐中沼 安二長谷田 裕一
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1984 年 25 巻 11 号 p. 1483-1488

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抄録

症例は31歳男性.股白癬に罹患1年後,黄疸,熱発等の症状を認め入院.肝腫大,閉塞性黄疸を認めた.逆行性胆管造影にて,肝内胆管の拡張,総胆管の狭窄を認め,試験開腹の結果,胆管壁にまで浸潤したリンパ節腫大を多数胆道周囲に認めた.切除リンパ節内部は肉芽形成を示し,内部にPAS染色陽性の菌糸を認めたが,菌の培養同定不能のまま抗真菌剤投与にて経過観察された.一時症状の軽快を認めたが,黄疸は持続性であり,Tチューブ・ドレナージその他の抗真菌剤治療にもかかわらず,現在,胆汁性肝硬変の状態に陥っている.皮膚の表在性白癬症に罹患後,そのリンパ行性感染により生じたと考えられる,肝及び胆道周囲リンパ節の肉芽形成により閉塞性黄疸をきたした極めて稀な症例と考えられるので報告する.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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