肝臓
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免疫学的検査により診断し,画像診断により興味ある推移を示した肝蛭症の1例
南部 修二市田 隆文小島 隆青山 圭一松井 俊二郎康山 俊学紺田 健彦樋口 清博井上 恭一佐々木 博吉村 裕之粕川 正夫
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1984 年 25 巻 11 号 p. 1489-1497

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抄録

肝蛭症は本邦においては比較的稀な疾患である.今回,著者らは虫卵陰性ながら免疫学的診断法および臨床像より肝蛭症と診断し,その治療前後の画像診断上の推移を観察し得た1例を経験したので報告する.
症例は上腹部疝痛を主訴とした28歳男性で肝腫大と好酸球増多(48%),IgE高値(14,000U/ml),肝機能異常を示し,画像診断では肝右葉に特徴的な腫瘤を描出した.特にCTでは同部に多房性低吸収域を認め,腹腔鏡検査では白色結節が観察され,同部の針生検像では,好酸球浸潤を伴う瘢痕と門脈域の線維化が特徴的であった.各種検査成績,画像診断より寄生虫症を疑い,胆汁,糞便の虫卵検査を行ったが陰性であった.しかし,Ouchterlony法において肝蛭抗原に強陽性を示し,本症例を肝蛭症と診断した.治療はBithionolの投与を行い,治療開始後3カ月でIgE高値を除き検査成績は正常化した.さらに経過観察しえたCT像で低吸収域が完全に消失した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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