肝臓
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原発性胆汁性肝硬変における胆汁酸代謝異常に関する研究
岩下 貞厚
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1984 年 25 巻 3 号 p. 374-383

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抄録

原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者の血清胆汁酸を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し,健常者および各種肝疾患患者のそれと比較検討した.その結果,PBC 20例中11例において早朝空腹時血清総胆汁酸(F-TBA)は高値を示した.しかしF-TBAが正常値を示したPBC例では健常者に比して遊離型胆汁酸(U-BA)の減少,タウリン抱合型胆汁酸(T-BA)の増加が有意にみられ,この時期すでに胆汁うっ滞の胆汁酸組成を有する可能性が示唆された.PBCの血清胆汁酸分画組成では一次胆汁酸の増加,コール酸/ケノデオキシコール酸(CA/CDCA)比の上昇,U-BAの減少,グリシン/タウリン抱合型(G/T)比の低下がみられ,これらは他の胆汁うっ滞の血清胆汁酸組成と類似し,PBCに特徴的なパターンは認められなかった.試験食による内因性胆汁酸負荷試験ではF-TBAが正常を示したPBC 9例中5例に負荷後の最高値(M-TBA)の異常高値がみられ,また残り4例中3例でもM-TBAに至るまでの時間の遅延がみられ,PBC早期からすでに胆汁酸代謝異常の存在することが示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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