画像診断で発見された,最大径3cm以下の小肝癌切除例16例の腫瘍構造と進展様式を検討した.14/16例(87.5%)に被膜を認めたが,被膜浸潤12/14例(85.7%),血管侵襲12/16例(75.0%)と,高率に周囲への浸潤を認めた.
脈管侵襲を左右する因子として腫瘍結節の内部構造を検討した結果,血管侵襲を認めなかった4例は,組織型では高分化索状型,構造的には異型度・分化度などの均一な均質増殖型であった.一方,血管侵襲陽性例はほぼ全例が,構造的に種々の組織型や,異型度・分化度などの異なる癌組織の混在するモザイク増殖型であった.
又,小肝癌のHBs抗原陽性率は3/16例(18.7%)であり,組織学的にはその全例がmacrotrabecular typeを主体としていた.
対照として検索したHBs抗原陽性進行肝癌においても,組織型はmacrotrabecular typeをとる率が有意に高く,この点で小肝癌と大型進行癌の間に類似性が認められた.