肝臓
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B型肝炎ウイルスキャリアーにおけるIgA class anti-HBcの臨床的意義
野村 元積古田 精市赤羽 賢浩立花 克己臼田 定和
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1984 年 25 巻 4 号 p. 470-476

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抄録

B型肝炎ウイルスキャリアー血清中にはIgG class anti-HBcおよびIgM class antiHBcのほかに新たにIgA class anti-HBcが存在することを証明した.IgA class anti-HBc活性の測定系としてanti-α-chain monoclonal antibodyをmicrotite plateに固相し125Iを標識したanti-HBc monoclonal antibodyとでsandwich RIA法を確立した.このIgA class antiHBcの臨床的意義を検討するためB型肝炎ウイルスキャリアー187例を対象に測定した.その結果無症候性HBs抗原carrierではIgG class anti-HBcは検出されるがIgA class anti-HBcは低頻度(4%)にしか検出されなかった.HBs抗原陽性慢性肝疾患ではIgA class anti-HBcは高頻度(78%)に検出され,その活性も高力価を示すことがわかった.また慢性肝疾患でも慢性肝炎活動性,肝硬変,肝細胞癌が慢性肝炎非活動性に比べて有意に高力価を示した.また慢性肝疾患ではHBe抗原陽性群がanti-HBe群に比べて有意に高力価を示した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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