肝臓
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アルコール性肝線維症の病理組織学的研究
とくに類洞壁格子線維管の改変特徴について
相原 正弘
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1984 年 25 巻 4 号 p. 491-500

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抄録

常習飲酒家及び大酒家95例の生検肝な用い,慢性肝炎67例及び正常肝30例を対照として,類洞壁格子線維管の正常基本構築とアルコール性肝疾患における改変特徴を調べ,以下の結果を得た.1) 成人の正常対照肝の類洞壁格子線維を,太い,中等大,細い及び微細の4種の線維に識別し,夫々の分布密度及び走行特徴を明らかにした.2) アルコール性肝障害では,伸展した中等大及び細い線維の密度が増し,さらに肝小葉中心帯における微細線維の増生が高頻度にみられた.これらの所見ならびに肝細胞周囲性膠原線維の出現は肝小葉内循環障害好発部位に強くみられた.しかも,微細線維の増生は積算飲酒量の少ない症例においても高頻度にみられた.3) 慢性肝炎における格子線維の増生は上記とは趣きを異にしていた.4) 以上より,アルコール性肝障害の早期から発現する線維化は,慢性肝炎とは異なる特徴があり,その発生は肝小葉内の循環障者と密接な関連なもつと者えた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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