肝臓
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慢性および悪性肝疾患における尿DNase Iと尿DNase II活性値の検討
村井 宏一郎辻 博梶原 英二赤木 公博尾前 照雄穴井 元昭
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1984 年 25 巻 5 号 p. 640-645

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抄録

尿DNase I, DNase II活性を慢性肝疾患と悪性肝疾患で測定した.尿DNase I活性は慢性持続性肝炎(8例)1,142±396(×103U/日,平均±SD),慢性活動性肝炎(14例)1,359±763,肝硬変(18例)1,227±469,原発性肝癌(13例)1,295±560,転移性肝癌(7例)1,528±896,対照群(13例)1,407±854で,各群間に有意差を認めなかった.
一方尿DNase II活性は慢性持続性肝炎27.7±15.0(×103U/日,平均±SD).慢性活動性肝炎32.5±24.6,肝硬変30.4±24.3,原発性肝癌94.9±55.8,転移性肝癌109.6±51.5で,対照群19.4±10.6に比べ,慢性肝炎や肝硬変では有意差はなかったが,原発性および転移性肝癌で有意の増加がみられた(p<0.005).
尿DNase II活性は悪性肝疾患で有意に増加することから,肝硬変での肝癌合併を診断する際の一助となり得る可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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