1984 年 25 巻 5 号 p. 646-651
最近開発されたセクタ電子スキャン・パルスドップラー複合装置による門脈血流量の測定の有用性を知る為,12人の食道静脈瘤を有する肝疾患患者において,同装置にて最大門脈血流速度を測定し,同時にシネ血管撮影装置を用いて,経皮経肝的に門脈内に注入したリピオドール滴の流速を求め,それより求めた平均門脈血流速度と対比した.5人ではピトレシン,2人ではラニチジンの経静脈的負荷後も最大・平均門脈血流速度を測定した.ドップラー法で求めた最大門脈血流速度はシネ血管撮影法で求めたそれの約2倍を示したが,両者は有意の一次相関を示した(r=0.917, n=19). B-modeで得られる門脈断面積を使用して,平均門脈血流量の測定も可能である.今後セクタ電子スキャン・パルスドップラー複合装置は門脈血流量測定の有用な方法となりうると考えられる.