26 巻 (1985) 11 号 p. 1445-1457
頭蓋内圧(Intracranial pressure:ICP)モニタリングを施行した劇症肝炎10例において,ICP,頭部CTおよびEEGの所見などについて臨床的検討を行った.その結果,(1)10例のinitial ICPは,10~28mmHgであった.(2)ICPが20mmHg以上に達した時点では,全例昏睡度IV度ないしV度であった.(3)Maximal ICPは生存群で32.2±4.5mmHg,死亡群で57.4±17.2mmHgと有意に死亡群で高値を呈した.(4)意識障害出現時よりmaximal ICPまでの日数は生存群で3.8±1.3日,死亡群では6.0±1.4日と有意に生存群で短かった.(5) ICPモニタリング開始時期は,昏睡度III度からが適応と思われた.(6)ICP モニタリングは脳浮腫対策に有用であり,EEGも脳浮腫の存在を推測する上で有用性が認められた.(7)ICPモニタリングが施行できない時は,肝性昏睡度IV度以上から,mannitolの使用などの脳浮腫対策が推奨されるべきと思われた.