肝臓
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ラット粗大結節性硬変肝の悪性進展における偽小葉結節増大と微小血管構築像の変化
石井 公道國分 茂博藤田 芳邦柴田 久雄岡部 治弥佐々木 憲一奥平 雅彦
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1985 年 26 巻 11 号 p. 1487-1494

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抄録

実験的粗大結節性肝硬変の悪性進展過程における肝微小血管構築の変化を,肉眼的並びに病理総織学的所見との対比のもとに検討した.Wistar系雄性ラットに3'-Me-DABを5週投与後,CCl4を0.2ml/100g体重当り1週2回,14週添加すると,間質の幅が狭い粗大結節性肝硬変が惹起されたが,経過により偽小葉結節は増大し,それと共に内部は粗血管状態から血管床の増加が認められて,腺腫様病変が出現した.一時CCl4を中止し,11週後より再度投与すると,結節は更に増大したが,経過中内部には一転して新生血管が出現し,組織学的には肝細胞癌へ進展していた.以上より,粗大結節性肝硬変は進行性で前癌病変の性格を有し,硬変化と悪性変化は共通の因子によって進行すること,及び偽小葉結節内部の粗血管性変化に基づく微小循環擾乱状態が,悪性進展に関与していることが強く示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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