肝臓
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腫瘍組織内に多量のコレステロール結晶を認めた肝細胞癌の1例
二宮 冬彦山口 弦二朗白石 公彦久保 保彦谷川 久一
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26 巻 (1985) 5 号 p. 661-666

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抄録

症例は67歳の男性.肝硬変症の経過観察中に腹部超音波検査で右葉後区域に肝細胞癌の合併を指摘され入院した.腹部CT検査ではCT値0以下を示すlow densityの腫瘍で制癌剤の動脈内注入施行後に肝右葉を切除し径6×6×6cmのcapsuleに被われた肝細胞癌を認めた.その後食道静脈瘤破裂による吐・下血にて入院3ヵ月後に死亡した.組織学的所見で癌部壊死組織内に多量のコレステロール針状結晶を認めたため組織内脂質含量を測定した.その結果コレステロールは平均20.2mg/g wet weightと著明に増加しておりとくに中心壊死部に多かった.またそのエステル型は総コレステロールの36.2%を占めており有意に上昇していた.以上のことよりコレステロール合成亢進下で急激に壊死に陥ったため多量のコレステロールが血中へ放出されずに結晶化して組織内に残されたものと推定した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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