肝臓
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動脈塞栓術施行後,5年8カ月生存した肝癌の1剖検例
長期生存要因の考察
貫野 徹金 鎬俊新井 孝之栗岡 成人塩見 進針原 重義山本 祐夫門奈 丈之中塚 春樹丸毛 俊明山田 龍作
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26 巻 (1985) 6 号 p. 777-783

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抄録

症例は55歳の男性,肝右葉に径8×7.5cmの肝癌が認められ,多数の娘結節を伴っていた.右肝動脈より動脈塞栓術(TAE)を施行したところ,AFPの減少と腫瘍血管の明らかな消失が認められた.右肝動脈はTAE 4回施行後に閉塞を来たし,左葉側の動脈および右下横隔膜動脈が新たに腫瘍の栄養動脈となった.右下横隔膜動脈に対するTAEが著効を示し,AFP値は78,800ng/mlから17.1ng/mlに著減した.しかし,その後腫瘍は肝右葉から右副腎,右腎に連続性に浸潤発育し,初回TAE施行より5年8カ月で腫瘍死に至った.本例における長期生存の理由として,以下のことが重要であると考えられた.1. TAE施行中に生じた側副動脈路のうち,右下横隔膜動脈に対するTAEが著効を示した.2. 血管造影所見において,腫瘍が結節型で60%以下の占拠率を有し,主要門脈枝に閉塞が認められなかった.3. Edmondson II型の高分化型肝癌であった.4. 肝硬変の重症度がchild分類のA群であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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