肝臓
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肝オルセイン染色とDHBV-DNA
森 順子小俣 政男横須賀 収今関 文夫伊藤 よしみ内海 勝夫松山 泰久奥田 邦雄
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キーワード: ナルセイン染色
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1985 年 26 巻 7 号 p. 856-860

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抄録

106羽のアヒル(中国産44羽,日本産成鳥15羽,感染実験アヒル47羽)について肝内オルセイン染色及び血中,肝内duck hepatitis B virus (DHBV)-DNAを検索し比較検討した.アヒル感染実験における血中DNAと肝内オルセイン染色の間には,陽性時期にずれが認められた,すなわち血中DNAは感染初期に多く,後に漸減するのに比しオルセインにて染色される陽性肝細胞は4~6ヵ月後より認められた.この事象は,臨床的に急性感染よりむしろ慢性感染にオルセイン陽性細胞が認められる事を裏付けるものである.オルセイン染色陽性肝細胞は,hepadna virus群である.HBV, woodchuck hepatitis virus,ground squirrel virusに認められるといわれているが,今回DHBVにおいても同じく染色性が認められる事を示した事により,今後新たなhepadna virusの組織染色におけるスクリーニングとして有用と考える.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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