肝臓
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門脈下大静脈吻合後の膵内分泌機能の変動
特に慢性肝障害における高グルカゴン血症の成因について
中野 英明
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1985 年 26 巻 8 号 p. 1040-1048

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抄録

犬に門脈下大静脈吻合(EcK瘻)を造設して術後12週まで経時的に膵内分泌機能の変化や膵島の組織学的変化を検索した.EcK瘻造設後早期では末梢静脈血中及び膵静脈血中のインスリン値及びグルカゴン値はともに上昇した.8週以後になると肝機能障害の進行にともなって血中のインスリン値は低下したが,グルカゴン値の上昇は持続した.組織学的に膵島の変化をみると術後8週以後では膵島の大きさ,容積比はともに減少し,かつB細胞の百分率が明らかに減少したがA・D細胞の比率は増加し,これら膵島の組織学的変化は膵島ホルモン分泌の変化とよく一致していた.一方,EcK瘻造設後血清のグルカゴン値とアンモニア値とは密接な相関を示し,さらに正常犬にアンモニアを負荷すると高グルカゴン血症が発現した.これらの成績からEcK瘻造設以後にみられる高グルカゴン血症には肝機能障害の進行による血清アンモニア値の上昇が強く関与しているものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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