肝臓
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CTにて局所性脂肪浸潤を示した典型的アルコール性肝炎の1女性例
上坂 敏弘加藤 正義永井 忠之亀谷 富夫堀上 健幸滝本 弘明谷野 幹夫
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1985 年 26 巻 8 号 p. 1077-1083

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抄録

肝への局所性脂肪浸潤はCTの普及に伴い近年認識されてきた病態であり,肝腫瘍と紛らわしい像を示すことがあるため注意を要する.
今回,著者らはアルコール硝子体を伴う典型的なアルコール性肝炎の1女性例において興味ある知見を得たので報告する.
31歳の大量飲酒歴を有する女性で3年前より肝腫大,肝障害を指摘されていた.入院時,著明な肝腫大,黄疸,肝機能異常を認め,RI肝スキャンで右葉中央に欠損像,超音波で高エコー腫瘍像を示し,CTでは大きな局所性低吸収域として示された.入院後,低吸収域は速やかに縮小,消失し,肝生検では脂肪変性,細胞周囲性線維化,軽度の小葉改築傾向の他,炎症細胞浸潤,アルコール硝子体が認められ,アルコール性肝炎と診断された.
局所性脂肪浸潤は肝腫瘍に類似した画像所見を呈するが,CT上,著明な低吸収値を示し,速やかに縮小,消失することなどが肝生検以前における診断に際し有用である.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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