肝臓
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術後,肝末梢部多発生A-P shuntが消失した肝嚢胞腺癌の1例
松下 文昭横山 仁鵜浦 雅志田中 延善加登 康洋小林 健一服部 信新村 康二角谷 真澄松井 修水上 勇治中沼 安二
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キーワード: 肝嚢胞, 肝嚢胞腺癌
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1985 年 26 巻 8 号 p. 1084-1089

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抄録

画像診断にて腫瘍性嚢胞が疑われ,合併した胆道系酵素の上昇,およびA-P shuntが,術後,軽減・消失した肝嚢胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は53歳女性で皮膚掻痒感のため当科に入院した.肝機能検査では,胆道系酵素の上昇を認め,腹部エコー・CTでは,肝門部を中心に,壁の一部に結節状隆起を有する巨大な嚢胞と,肝内胆管の拡張がみられた.さらに,血管造影上は,門脈の圧排と肝末梢部に多発したA-P shuntが認められた.摘出標本の組織所見では,嚢胞内面顆粒状隆起部に悪性像が認められ,肝嚢胞腺癌と診断された.術後,胆道系酵素の上昇は軽減し,A-P shuntは消失した.以上より,腫瘍性肝嚢胞の診断に画像診断が有用であり,また,巨大な嚢胞による門脈・胆道系へのmass effectによって,transsinusoidal type のA-P shunt,および胆道系酵素の上昇を主とした肝機能検査異常が生じ得ると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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