肝臓
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瀉血療法が有効であった晩発性皮膚ポルフィリン症の1例
岡山 昭彦中村 東樹丸山 俊博林 克裕北村 亨石野田 吉弘横田 勉橘 宣祥津田 和矩
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1986 年 27 巻 1 号 p. 100-105

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抄録

症例は53歳,男性.全身倦怠感と露出部の皮膚症状を主訴として来院した.検査所見では軽度の肝機能障害ならびに尿中ポルフィリン体の排泄増加がみられた.腹腔鏡検査では肝表面に灰青色斑がみられ,生検肝は紫外線の照射によって赤色蛍光を発した.肝組織像では軽度のリンパ球浸潤,ヘモジデリンの沈着および多数の細胞質内針状結晶を認めた.症候性晩発性皮膚ポルフィリン症と診断し,昭和56年12月より4~8週おきに1回250~300ml,総量3,000mlの瀉血療法を行った.治療にほぼ平行して自覚症状の軽減,尿中ポルフィリン体排泄量の正常化がみられたが,肝機能検査成績はほとんど不変であった.治療終了6カ月後に行われた腹腔鏡検査では,肝の灰青色斑は消失し,生検肝の赤色蛍光もみられなくなったが,肝組織の炎症像および針状結晶については不変であった.本例において瀉血療法は体内の過剰な蓄積ポルフィリン体の減少と,皮膚所見および自覚症状の軽減という点では著効を示したといえよう.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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