肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
インスリンの肝細胞内輸送動態について
光顕および電顕オートラジオグラフィーを用いての観察
権藤 和久
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 27 巻 1 号 p. 42-51

詳細
抄録

インスリンの類洞血中より肝細胞への取り込み,ならびに肝細胞内輸送動態を観察するために,125I-インスリンを用い光顕・電顕オートラジオグラフィーにより観察した.ラット腸間膜静脈より投与されたインスリンは,中心静脈周囲肝細胞に比し,門脈周囲肝細胞に有意に多く取り込まれた.インスリンは類洞血中からendocytosisにより肝細胞内に取り込まれ,coated vesicleに包まれ,肝細胞内を毛細胆管側へと輸送されて胆汁中へ排泄されるものと,RER,核膜へ輸送されるものとが観察された.
コルヒチン投与により肝細胞原形質内のmicrotubulesを障害すると,インスリンの肝細胞への取り込みには影響はみられないが,その肝細胞内輸送は抑制され,インスリンの肝細胞内輸送にmicrotubulesが重要な役割をなしていると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top