肝臓
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初代培養肝細胞及び培養肝癌細胞に対する核酸成分の影響
西松 信一大柳 治正斎藤 洋一
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1986 年 27 巻 11 号 p. 1531-1538

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抄録

初代単層培養肝細胞,株化培養肝癌細胞AH130を用い,inosine, guanosine5' monophosphate (GMP), cytidine, uridine, thymidine,その混合液(OG-VI)がそれらのDNA及びRNA合成に及ぼす効果について検討した.
正常培養肝細胞では,至適濃度域のinosine, GMP, uridine, thymidineの添加はDNA, RNA合成面で有効であったが,より高濃度になると抑制に働いた.また,これら核酸混合液OG-VIも有効であった.
一方,培養肝癌細胞では,正常肝細胞の至適域より高濃度域にて,cytidine以外の核酸成分はDNA, RNA合成を促進したが,cytidineでは抑制された.また,OG-VIはthymidine及びuridine単独群より,DNA, RNA合成を抑制したが,非添加群より促進した.
以上より肝再生時には,至適濃度の核酸は有効と考えられるが,肝癌では核酸は腫瘍増殖を促進する可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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