肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
小肝細胞癌に対する経皮的超音波ガイド下エタノール局注療法の検討
藤本 隆史真島 康雄田中 正俊岩井 一郎酒井 輝文平井 賢治阿部 正秀谷川 久一剣持 邦彦
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 27 巻 11 号 p. 1559-1567

詳細
抄録

小肝細胞癌治療の目的で,経皮的超音波ガイド下エタノール局注療法を行い治療効果を検討した.対象は肝細胞癌患者15例で,腫瘍直径は1.6cmから5.1cmにわたった.方法は超音波ガイド下に22G. PTC針で直接腫瘍部を穿刺し,無水エタノール1~3mlを注入した.その結果,AFPの明らかな下降が15例中10例(67%)にみられた.また血管造影像での腫瘍サイズの縮小または腫瘍の消失が10例中9例(90%)に見られた.治療後手術をおこなった2例中1例は腫瘍部は100%壊死におちいっており,もう1例は90%壊死におちいっていた.
以上全体として15例中13例(87%)に有効であった.重篤な副作用は認められず,エタノール注入前後の血中エタノール濃度にも有意な上昇は認められなかった.経皮的超音波ガイド下エタノール局注療法は小肝細胞癌に対する有効な内科的治療法であると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top