1986 年 27 巻 11 号 p. 1578-1583
一種のリンホカイン,催胆汁うつ滞因子(cholestatic factor)をラットの腸間膜静脈に注入すると,著明な胆汁流量および胆汁酸排泄量の低下が認められる.このような実験的肝内胆汁うっ滞を誘導する際に,cholestatic factorと同時にウルソデオキシコール酸を注入すると,cholestatic factorによる胆汁および胆汁酸排泄の抑制は有意に軽減された.また正常ラットにウルソデオキシコール酸を投与した場合も著明な利胆作用が認められた.同様な利胆作用はケノデオキシコール酸,コール酸,デオキシコール酸またはデヒドロコール酸でも認められたが,いずれもウルソデオキシコール酸よりも低かった.以上の結果から,肝内胆汁うっ滞の治療にウルソデオキシコール酸が有効である可能性が示唆された.